日本にもインターネットが普及し出した2000年頃、わたしはあまりインターネットに対して脅威を感じていなかった。そこには文字とダサい絵柄のサイトが並んで日常に見聞きする以下の情報ばかりだったからだ。有用な情報など無かったし、ネットサーフィンなど時間の無駄な気がしていた。その頃、インターネットをするためにはパソコンが必要だった。
その後、2007年にiPhoneが発表されスマートフォンという新しい端末が、手のひらのインターネット端末として普及し始めた。インターネット上の情報量が爆発的に増えたのもこの頃からだろう。画像に加えて今までテレビや映画館でしか見ることのなかった動画情報が寝転がってもトイレの中でも見ることが出来るようになった。
テレビ電話や仮想現実、拡張現実…SFの世界でしか見たことのなかった世界が現実になった。わたしはインターネットに次第に脅威を感じるようになった。
目の前で一流の大学の授業が受けられる。語学を学ぶために海外に行く必要もない。買い物はどこにいてもスマホ一つでできる。辞書を引かなくなった。図鑑を見なくなった。人に聞かなくなった。地球上の多くの人が解決の糸口にスマホを手に取るようになった。
SNSを日々チェックする。
ニュース記事の間にはさまれたAIなどと高尚な呼び方をされるネットを行きかうプログラム群によって自分の趣味趣向に調整されたリコメント情報。気になったリンクをクリックする。
本当にそれを自分がクリックしたのか、プログラムによりクリックするよう仕向けられたのか。どちらにせよ、誰の意志かは分からないが、ある思想に支配されてしまっている。これ(インターネット)を使えば良いことがあるよ、という思想だ。
インターネットを使うのは自分。誰の指図も受けない。わたしが主人公。
本当だろうか?
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