本の感想:銀河英雄伝説6 飛翔篇
田中芳樹(著)
この巻あたりでは、著者はヤン・ウェンリーに言葉を託しているような気がしてならない。
“軍隊とは一国内における最強の暴力組織である”
「信念とは、あやまちや愚行を正当化するための化粧であるにすぎない。化粧が厚いほど、その下の顔はみにくい」
ヤン・ウェンリー
「そんな生活のどこに正義がある?貴族とは制度化された盗賊のことだ、と、まだ気づかないのか。暴力で奪うのは悪だが、権力で奪うのはそうではないとでも思うのか」
ロイエンタール
“戦略とは状況をつくる技術。戦術とは状況を利用する技術”
不本意な死にかたをしいられることと、不本意な生きかたを強制されることと、どちらがまだしも幸福の支配領域にちかいといえるのだろうか…。
“人類の手足は伸びすぎて、揺籃(ゆりかご)へはもどれない”のだ。地球に人類の過去はあっても、未来はない。
人類が主権国家という麻薬に汚染されてしまった以上、国家が個人を犠牲にしない社会体制は存在しえないかもしれない。しかし、国家が個人を犠牲にしにくい社会体制には、志向する価値があるように思えた。
ヤン・ウェンリー
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