ウルトラマンは小さい頃からわたしの憧れのヒーローだ。
ウルトラマンは光の巨人である。大きくて強い。でも地球上では3分しかもたないという緊迫感のある設定。わたしは、ウルトラマンと怪獣の戦闘を毎回心待ちにしていた。
しかし、一つだけ小学生のわたしでも違和感をもつ点があった。
「なぜ最初からスペシウム光線を出さないのだ!」
である。
ウルトラマンは「シュワッチ!」といって登場してから、スペシウム光線を出すまでの間、怪獣と肉弾戦を繰り広げるのだ。まあ、小学生時代のわたしからすれば、怪獣と取っ組み合って戦っているウルトラマンは見ていて楽しいから、違和感こそあれど全く問題はなかった。
大人になってから考えてみたのだが、実はウルトラマンはスペシウム光線を出したくなかったのではなかったか。
スペシウム光線で怪獣が倒せることを知っていて出さなかったのだ。
怪獣は街を破壊する。人間の論理からすれば、悪いやつということになる。しかし、怪獣の論理からすれば違うのだろう。ジャミラではないが、怪獣は人間たちにわかって欲しい事があってやってきた。街を破壊するしか手段がなかった。
ウルトラマンは知っていたのだ。怪獣だけが悪いわけではないことを。そんなことをしても何にもならないよ、というメッセージを怪獣と取っ組み合いをすることで分からせようとした。しかし、それでも聞きいれない怪獣たちにウルトラマンは泣く泣くスペシウム光線をあびせていたのだ。
今の地球にウルトラマンが降り立ったら、ウルトラマンはどこにスペシウム光線をあびせるだろうか。
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