そば屋の藤兵衛で聞いた話

そば屋の藤兵衛で聞いた話の画像 そういう気持ち
「わたしは東京オリンピックの後に競輪の選手になったんです。もともと板前をやっていて競輪の選手になろうと思っていて。競輪の学校というものがあるんですが、そこに入学させてくれと頼みにいったんです。そしたら競輪学校の人に、おまえの体じゃ無理だ、と言われました。そんなに入りたいのなら1年間毎日水戸から土浦まで自転車で通って来い。そうしたら考える、と言われました。競輪学校の人は、絶対にできそうもないことを言ってわたしを諦めさせようとしたようなんです。でも、わたしは毎日やったんです。朝5時に出て8時位かな。3時間かけて通うんです。75kgあった体重が48kgになりました

ダイエット話ではない。ちなみに水戸から土浦の距離は往復100kmを越える。
店主は続けて、

「東京オリンピックの前後はみんな頑張っていましたよ。私のような人はいっぱいいました」

と言った。

年に数回ほど足を運ぶ「藤兵衛」という蕎麦屋さんで聞いた話だ。
ここの店主とは、何度かお話をしたことがあった。
店主は、元競輪の選手であることや国体にも2度出場したという、蕎麦屋の店主というイメージとはかなりギャップがある方だ。
今日は帰りがけに呼び止められ、「今お汁粉作ったんで時間あったらどうぞ」と勧められた。
わたしは喜んで頂くことにした。せっかくの機会なので、何か店主から話しを伺おうと

「最近は競輪乗っていないんですか?」

とトンチンカンな質問をしてしまった。(50歳をを目前にしてこんな事しか言えないのかと自分をいぶかしがってしまう)

わたしの間抜けな質問のも関わらず店主は、「最近はママチャリしか乗ってないですよ」と快く答えてくれた。
店主の話しでは、普段は徒歩で移動することも多いのだが、買い物に行くときに時々ママチャリは使うそうで、競輪時代を思い出してママチャリなのに前傾姿勢で勢いよく走ってしまうこともあるそうだ。
ママチャリの話の後、店主がしてくれた話が冒頭の話である。

片道50kmの距離を自転車で通う。
往復で100kmで、1年間が52週として、月曜から金曜まで学校に通うとすると週5回。

100 × 52 × 5 = 26000km

地球の直径を往復したよりも自転車で走っている!

店主の話を聞いた後、帰宅しながら「わたしも頑張ろう」という気持ちになった。
1人でいると元気が湧き出て来ることは稀だが、人の話を聞くと元気が出ることがある。
自分は人を元気にしているだろうか、と思った。

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