猫は家に

スポンサーリンク
猫は家に そういう気持ち

猫は家につき、犬は人につくと言う。
昔、わたしの実家では常に猫を飼っていた。
藁葺きだった屋根にトタン屋根をかぶせた築100年以上の古い家がわたしの実家だ。天井が黒く煤(すす)けており、以前は囲炉裏があった面影を残していた。要するに昼間でもおばけが出そうな薄暗い家だった。

高校を卒業してわたしが実家を出た時分だったろうか、家が新築された。
新しい家は、実家とは少し離れた場所に建てられたため、しばらくは実家だった古い家もそのまま残っていた。その当時飼っていた猫は、当然新しい家に連れていかれたのだが、猫は新しい家を自分の家とはなかなか認識してくれず、何度か古い家の方に探しにいったことがあった。

わたしがお盆か何かの折りに帰省した際、家人から猫がしばらく姿を見せていないと聞いた。
祖母がいつだったか話してくれた「猫は死期が近づくと人前から姿を消す」という言葉を思い出し、わたしは古い家に足を運んでみた。
古い家には、布団置き場になっている部屋が1つあった。
猫はそこにいた。寝ているように横たわってひっそりと死んでいた。
猫が死んでいた部屋は、われわれ家人も普段は使わない部屋だった。生前の猫だって特別好き好んで過ごしていた部屋ではなかった。わたしは「猫は死期が近づくと人前から姿を消す」という祖母の言葉を反芻(はんすう)した。

古い家の近くに穴を掘って猫を埋めた。
この家、気に入ってくれてありがとう」と猫につぶやいた事を憶えている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました