本の感想:走れ!T校バスケット部

本の感想:走れ!T校バスケット部 面白かった本(小説)

走れ!T校バスケット部

松崎 洋(著)

個人的にバスケットボールが好きなので読んでみようと思った本。
タイトル通り、青春真っ只中の高校生が繰り広げる爽やかサクセスストーリーだ。

本作は映画化(2018年11月上映中)されているが当然と言えば当然だ。
本作を読めば、映画を見なくても、主人公達がきっと映像化されて頭の中に登場するはずだからである。
中学時代のバスケット部でいじめられた苦い経験を持つ主人公の陽一を始め、冒頭の入院シーンで登場する俊介、「文句マン」の異名を持つチビ、足だけは異様に速いメガネ、女の子に興味津々のノゾキマ、体がでかく大食感の健太とビジュアルでイメージができる個性豊かなキャラクタたちがバスケットを繰り広げる。

物語の1つの核となっている言葉がある。
」という言葉だ。
本作で「和」という言葉は、主人公陽一の想いを一言で表現しているといっていいだろう。
中学校の文化祭の標語にもなりそうな日本人としてはありきたり過ぎる言葉が最後の最後に主人公陽一の想いと交錯してじわっとくる。
陽一たちを支える部活動の顧問教師小山先生は、バスケは知らないがスポーツのなんたるかを知っている素敵な先生だ。
昨今の部活動問題を見聞きするにつけ、こんな先生なら部活動嫌いにならないよなぁ、と考えてしまう。

実はわたしは松嶋尚美さんが書いている解説(幻冬舎文庫版)から読んでしまった。すると気になる記述が。

「最後の最後での、あの健太の働き!(中略)あそこはちょっと感動しますよ。」

これは気になる!
読み始めると、物語はさくさく進み、本を読むのが遅いわたしでも半日で読み終えてしまった。(きっと普通の人なら2,3時間もあれば読み終えてしまうんじゃなかろうか)
著者の松崎洋さんは他にどんな本を書いているんだろう?」気づくとわたしは、本の帯にある著者略歴を読んでいた。
そしてすでに著者は故人であることにびっくり。
本作「走れ!T校バスケット部」は全10巻として出版されており、最後の10巻目は、著者松崎洋氏の病室で未完の原稿となり、その後ご子息の松崎準氏により共同執筆として刊行されたとのこと。

詳しくは、こちらに書いてあります。

もちろんわたしのように解説から読んでもネタバレはないので、解説を読んでから本編を楽しむ方法もアリです。
全10巻として出版されてはいるが、物語自体は、この初刊「走れ!T校バスケット部」で完結している。(活躍したT校バスケ部員の将来までが最後に紹介されているので)
この初刊で人気が出たので、続編として10巻まで刊行されたというのが正解だろう。
バスケットボールのルールを知らないと少し感情移入しにくいが、ちょっとでもバスケ好きなら読んで損はない本だと思います。

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