本の感想:ピース

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人生とは思い通りに行かないもの、を感じさせるミステリーです。
ピース/樋口有介(著)
ピース (中公文庫)


物語のさいごに、舞台となる田舎町のバー「ラザロ」で流れる曲に、このミステリーの悲しさが、よけいにこみ上げてきました。有名な曲なので、きっと読み終わったあと、聞きたくなると思います。
表紙にあるピースサインをしている絵。この絵が、ミステリーの核心となっています。
ふだんよく写真を撮られる際にするピースサインが、この本の題名なのです。
実際にあった事件を題材に、この「ピース」は書かれているため、あの事件のとき、こんなことが本当にあったのかな、と調べてみたくなる展開をみせます。
「ピース」の事件を担当する坂森刑事のセリフからは、もっと過去の事件、「3億円事件」のエピソードも出てきます。未だ解決していない「3億円事件」に、こんな考え方があったのかと思うと、警察について考えさせられます。
「人として、やってはいけないこと」を刑事の口から強く語らせるシーンも胸を打ちます。
坂森刑事は、「ピース」の事件が片付いたあと、バーのマスターにどうしても言いたかった重要なことを伝えます。
事件としては、世間的に片付いたことが、未だ終わりを見せていないことが最後に語られて、この物語は終わります。
印象に残った言葉…
「分かるようで分からない。分からないようでも、意外に分かってしまう」
「人生とは思い通りに行かないもの。それはそうだけど、だからってこんな田舎町で朽ち果てるのもね…」
「人生とは思い通りに行かないもの。そんなことは分かっていて、その事実を受け入れてしまえば今の暮らしも、楽と言えば、まあ楽なんだけど」
「人生とは思い通りに行かないもの。すべてを諦めてしまえば、それはそれで、楽なんだけどね」
「生きてる寂しささえ我慢できりゃあ、人間てえのは、はあ何でも我慢できるべえよ。」
人間とは、悲しい生き物です。

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