本の感想:アントキノイノチ

アントキノイノチ
さだまさし(著)

アントキノイノチ

何度も読む小説というのは、きっと自分にとって何か引っかかるものがあるからだと思う。

わたしはさだまさしの『アントキノイノチ』を2年続けて読んだ。最初に読んでから1年と少ししか経っていないので、大方ストーリーは頭の中に入っている。それでもまた読んでしまったのは、何か自分の中に答え(のようなもの)を探したかったかもしれない。

わたしは「仕事とはなんだろうか」と最近よく考える。
生活のためであり、自分の名誉のためであり、好きなことに没頭するためであり…
この本にはこんな主旨のことが書いてあった。

人から「ありがとう」って面と向かって感謝される仕事は、そうあるものではない。
だからこの仕事は素敵な仕事なのかもしれない。

小説に登場する遺品整理業『キーパーズ』は、現実に存在する会社だ。
わたしは今日仕事で、何度「ありがとう」を言われただろうか、と考えた。
あるいは、何度自ら「ありがとう」を言っただろうか。
仕事は本来、人の「ありがとう」から生まれてくるものなのかもしれない。

この小説の見方は色々とあるだろう。
心に病をかかえた人が立ち直る物語。辛い過去とどう向き合うかを考える物語。
わたしはこの小説『アントキノイノチ』に、<仕事とはこんなものと教えてくれる物語>というレッテルを貼った。

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