ふつうのことはふつうにできない

1990年代にヒットした「マーフィーの法則」という本がある。
「マーフィーの法則」には、いくつかのバージョンがあったが、「洗車をすると雨になる」とか「となりのレジの方がはやい」といったわたしたちの日常を切りとったものが最初に出たバージョンだったような気がする。
当時は「あー、それ、あるある」と何人かが集まるとみなで納得し合っていた。
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【写真/2013年2月21日 ふつうの夕暮れ】


「マーフィーの法則」という本のタイトルがわたしは秀逸だと感じていた。
なぜなら、「マーフィーの法則」におさめられた数々の言葉は、それ程には「法則」と呼べるようなものばかりではなかったからだ。うまいこと作った本だな、と思う。
わたしは、どの「法則」をみても「ああ、そうだよなあ」と感心していた。
わたし以外の人たちもそう感じていたということは、多くの人が普段それを考えたり当たり前のように感じていたからに他ならない。
そうした「当たり前のこと」を集めて本にしました、ということだ。
わたしたちが「ふつう」だと感じていることは、「ふつう」すぎてしまって普段はあまり意識しなくなっている。
それを「こういうことってあるよね」とみんなが分かち合えるように提示すると「ふつう」がふつうでなくなる瞬間なのかもしれない。
マーフィーの法則には、「私たちが必要な情報は私たちの手に入らない」などといったものまであった。
普段あたりまえのように過ごしていると見過ごしがちだが、「ふつうのこと」って驚くほど身の回りにあって、今か今かと出番を待っているのかも、などと「ふつう」に考えてしまった。

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