長崎瞬哉(詩人) ショートショート:何かが触れた気がした 『何かが触れた気がした』/長崎瞬哉 てっきり彼女がわたしをひきずりこもうとしているのだと思った。でも違った。彼女の目的はわたしと入れ替わること。ううん、違う。入れ替わるんじゃない。――彼女はわたしになりたかったんだ。 § 夏で、暑い日だ... 2019.08.21 長崎瞬哉(詩人)
長崎瞬哉(詩人) 詩:彼 彼は 木の塊を 削って 削って 仁王を つくった 彼は 土の塊を 削って 削って 動物を つくった わたしは 文章を 削って 削って 詩を つくる それは皆 元からそこに あったもの かくれて そこに あったもの 長崎瞬哉 2019.08.20 長崎瞬哉(詩人)
長崎瞬哉(詩人) 詩:帰り道 帰り道 長崎瞬哉 学校からの帰り道、自転車キコキコ考えた。 ワタシが轢いたカタツムリ。 プチっと落として遠ざかる。 人を轢いたら裁かれる。 虫を轢いても裁かれない。 避けることは出来たよなあ。 避けることは出来たよなあ。 雨がいつしか止んで... 2019.07.29 長崎瞬哉(詩人)
長崎瞬哉(詩人) ショートショート:スーパーの店員生島隆志の話 『スーパーの店員生島隆志の話』/長崎 瞬哉 ムカデのように連なったショッピングカートをへいこらと押しながら「あと30分かぁ」と誰に言うでもなく生島隆志は溜息交じりにつぶやいた。もう20分もすれば、スーパーツルハシの店内からは、蛍の光が流れ... 2019.07.21 長崎瞬哉(詩人)