ショートショート

長崎瞬哉(詩人)

チルルからノイへの短い手紙(旅の無い星)

どうやらコメノ先生の話では、最近チルル宇宙局のメンバーがノイの移動の仕方についての研究を開始したらしい。驚く事にノイたちは移動にかなりの時間を使うようだ。それは想像を絶する。
長崎瞬哉(詩人)

とある上司とある部下の話

食事を終え2人はレジに向かった。 タイミング的に部下の方が先にレジに到着しそうだった。
長崎瞬哉(詩人)

ショートショート:おはやしが聞こえる

はて、わたしは一度でもおはやしの音をたてている連中の顔を見たことがあっただろうか? 真夜中、目が覚める。おはやしの音がどこからともなく聞こえてくる。
長崎瞬哉(詩人)

ショートショート:あしかせ

端末を操作しつつ周囲に気を配っていると、ちょうどブランコを勢いよく下りた少女と目が合った。 「あしかせ」 少女は私の方に向かってそう言った。
長崎瞬哉(詩人)

ショートショート『いつかの彼女』

『いつかの彼女』/長崎瞬哉 幼馴染みの女の子。少し気になる存在だった。 2年前のあの日、学校からの帰り道。 彼女は笑顔で(僕にとってはとびきりの笑顔で!)「またね」と言った。 翌日彼女は学校に来なかった。翌々日も。高校2年生女子の失踪事件は...
長崎瞬哉(詩人)

鬼ごっこ

『鬼ごっこ』/長崎瞬哉 また鬼になってしまった。 ヒロシは少しうんざりしていた。昼休みのほんの数十分とはいえ鬼ごっこの鬼になってしまったのだった。ヒロシはどちらかと言えば友達づき合いの悪い方ではない。当然、クラスメイトに鬼ごっこしようと言わ...
長崎瞬哉(詩人)

ショートショート:何かが触れた気がした

『何かが触れた気がした』/長崎瞬哉  てっきり彼女がわたしをひきずりこもうとしているのだと思った。でも違った。彼女の目的はわたしと入れ替わること。ううん、違う。入れ替わるんじゃない。――彼女はわたしになりたかったんだ。 §  夏で、暑い日だ...
長崎瞬哉(詩人)

ショートショート:スーパーの店員生島隆志の話

『スーパーの店員生島隆志の話』/長崎 瞬哉  ムカデのように連なったショッピングカートをへいこらと押しながら「あと30分かぁ」と誰に言うでもなく生島隆志は溜息交じりにつぶやいた。もう20分もすれば、スーパーツルハシの店内からは、蛍の光が流れ...
面白かった本(その他)

本の感想:ショートショートの花束9

ショートショートの花束9 阿刀田 高・編 本書の装丁は、一見わたしが高校時代によく読んだ星新一や阿刀田高の単行本を彷彿させる。 本書は、「小説現代」のショートショート・コンテスト入賞作品を60編集めた単行本の中の1冊である。 60作品とも全...