わたしの住む地域は、朝の通勤時間帯に霧深くなる日がある。
先日も、まさに五里霧中の言葉よろしく前を走る車がうっすらとしか見えないほどの霧だった。
対向車が突如霧の中から浮かび上がる。対向車でもヘッドライトを点けている車はある程度遠くからでもわかるのだが、ヘッドライトを点けていない車だと相当近づかないと気づかない。非常に怖い。
霧の中を走行中感じたことは、お互いの車がヘッドライトを点けていれば、ある程度、双方の位置が分かるということ。まあ、それでも注意して走行しないと大きな事故に遭いそうだ。
人と人ともこんなものだろうか。
霧の中お互いが彷徨い歩いている。わたしはここにいるよとサインを出せば相手も気づく。
相手の存在を意識すれば、大きな事故も起きない。
いつしか霧が晴れて、世界が広がった。
わたしの目の前には多くのものが存在していた。
霧の中、じっと声を潜めていたものたちがそこにいた。
コメント