むらさきのスカートの女
今村夏子(著)
読み終えてからタイトルが秀逸だなと感じた。
「むらさきのスカートの女」である。非常に気になる人物ではないか。(ちなみにわたしはこれまで紫色したスカートをはいた女性をモーターショー以外でしか見た事がない)
わたしのようにタイトルが気になって本書を手に取った人はきっとだまされる。
だまされるというのは、良い意味で読者を裏切る作品という意味だ。
主人公の「わたし」は、近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方がない。きっと最初は読者も「むらさきのスカートの女」が主人公の「わたし」と同じ様に気になってしょうがないはずだ。ところがところが読み進めていくうちに「ん?なんか変だぞ」となってくる。
そして最後、「むらさきのスカートの女」から主人公の「わたし」へとフォーカスが移動する。
その視点移動が見事である。
追記:個人的には、表紙絵も本書をよく表現していて大好きだ。ちなみにしおり紐の色は紫色。
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