詩:知らず森

長崎瞬哉(詩人)

「わしが生きているなら 森も生きている」

昔、おじいさんが話してくれた…

わしは森を歩いておった

わしが森の木を見るように 森もわしを見ていた

風もないのに枝葉が揺れた

森がわしに挨拶したんじゃ

わしが通ったすぐ後に 太い枝が落っこちた

森がわしに危険を知らせたんじゃ

わしが森を抜けだすと 森はすっかり閉じていた

人が森を歩くわけじゃない

森が人を招くんじゃ

その森は お前のすぐ近くにある

コメント

タイトルとURLをコピーしました