詩:携帯電話

長崎瞬哉(詩人)

携帯電話で 初めて話した人は 誰ですか?

上野の雑踏 携帯電話が世間に出始めた あの頃 
キャンペーンガールが わたしに言ったのです
この場所から 電話ができますよ、って

わたしは どこに掛けようか 迷ったけれど
長野の実家に掛けたのです
母が出ました
わたしは得意げに さも自慢げに 話しました

今は みんなが 携帯電話を持っています
もう 母はいません

長崎瞬哉

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