「大工さんて凄いなあ」
自宅の床板をはがす作業をしたとき、まず思ったことだ。
普段使わない筋肉と犯罪行為でしか耳にしないバールという工具を使って床板をはがす作業は予想以上に困難だった。
作業中、錆びた釘も沢山折ったが、きつい作業に心も折れた。
床板をはがす前に水平器を使って床が水平かどうかを調べた。床はちゃんと水平だった。
大工さんは家を水平に作る事ができる。
床をはがすと土台となっている基礎石がみえる。根太(ねだ)とよばれる床板を支えている材木がみえた。
わたしは大工さんが作ったものをなんとかして壊しただけだ。同じものを作れと言われても出来ない。
統一感のない材木を組み合わせてあったりする技術をみるにつけ、数学とか英語の能力とはまた違う能力が必要なのだと感じた。
釘を垂直方向からしか打ったことがないわたしは、なぜ大工さんが垂直方向だけでなく斜め方向からも釘を打っている場所があるのか不思議だった。大工さんが失敗したのかと思って、あとで調べたら「忍び釘」といって、水平方向からの力に対しても強度を増すための技だと知った。
家を縁の下から見たら、全てが必然であって無駄な事は何もないのだと知った。
そして大工さんをあらためて尊敬した。
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