情報処理用語に「フールプルーフ」というものがある。
バカ防止
と訳す。
フールプルーフとは、何かの機械を操作する人に対して、誤った操作をしないように手順などを配慮したり、誤って操作しても危険が生じない仕組みにしておく考え方の事だ。
冬場に暖房で使う石油ファンヒーターなどは、給油タンクを持ち上げると自動消火するような仕組みになっている。もちろんファンヒーターの注意書きには、「給油の際は、一旦消火してから行うようにして下さい」などと書かれているのだが、それを守らなかった不届き者がいたとしても、問題がないような仕組みになっているのだ。
ガスコンロなども同様に、フライパンを熱し過ぎると自動で弱火になるなどの安全装置が働く。最近の自動車に搭載されているブレーキアシスト機能なども同じ考えだろう。われわれはフールプルーフに基づいた多くの機器に囲まれ生活している。これはわれわれの中に馬鹿が多いからなのか、あるいは企業側が消費者からの苦情を事前に防ぐためなのか。
最近フールプルーフだなあ、と感じた機器を一つ紹介しよう。
わが家には無いものだが、近づくと勝手に便器のフタが開き、用をたしてズボンを上げるころに自動で水を流してくれるという至れり尽くせりの全自動トイレだ。まさに究極である。
わたしはこれまで2度ほど、この究極の全自動トイレを使った事がある。
初めて利用した時、突然トイレのフタが開いた時はかなり驚いた。
「誰だっ!」と言いそうになってしまった。そして最後に用をたして立ち上がり、ズボンを上げようとした瞬間、突然水が流れ出した。「えっ?!」である。
この時、なんとも言えず寂しい気持ちになったのを憶えている。
何が寂しかったのかと言うと、トイレから「おまえ、ウンコするしか脳がないだろ」と言われたような気持ちになったからだ。(まあ、実際その通りなのだが…)
安全装置としてのフールプルーフは必要だとは思う。ただし、行き過ぎると人間駄目になりそうだ。
特に全自動トイレはいかん。もしわが家のトイレが全自動だったとする。これに慣れた頃、たまたま他人の家にお邪魔した時、わたしは便器の前でフタが開くまで立ち尽くしている自信がある。また、かろうじて便器に座ったとして、流さずにトイレから出てしまい人様に自分自身(まさに!)をさらけ出す可能性を否定出来ない。
非常事態になっても自分で何も考えられない人を増やす装置はわりと身近に存在している。
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