むかご

そういう気持ち

実家は兼業農家をやっていた。
周囲では長芋を作って出荷している農家が多かった。実家のある辺りでは、その昔千曲川が流れていた場所らしく、砂地でサラサラした土は長芋の生育に適していたようだ。

わたしも何度か父と長芋掘りをしたことがある。

長芋は普通のスコップとは違い、通常より細長いスコップを使って掘っていた。
長芋専用のスコップというわけだ。普通のスコップとしては使いにくいが長芋掘りには使いやすかった。

長芋というくらいだから地面の下に向かって細長い穴を掘る必要がある。
途中でスコップが長芋に当たってしまうと傷をつけたり折れてしまい出荷はできなくなる。(自宅用に食べる分には問題ないが…)

長芋を掘っているとき気になっていたのが、「むかご」と呼ばれる地面から上に出ている長芋の茎についた丸い芋のようなものだ。当時(というより最近まで)わたしはこの丸い芋のようなものが「むかご」という名前がついていることを知らなかった。

妻が「今日は、むかごご飯だよ」といって作ってくれたものを見て、長芋の茎についている丸いやつに似ているなあ、と思った。

ネットを使って調べると、まさに長芋などの茎につく丸い芋状のもの(肉芽にくがというらしい)は「むかご」といってご飯と一緒に炊き込んで食べたりすることが分かった。

わたしの実家では、長芋は食べこそすれ、むかごは食べたことが無かった。全部捨てていた。
むかごには食べる価値が無いと考えていたんだろうか。

炊きあがったむかごご飯は、マヨネーズの香りがするなあと思った。
小さい頃、むかごご飯を食べていたら、きっと好きになっていただろう。

ちなみに長芋のむかごは、種でも実でもなく成長のために養分を蓄える場所とのこと。

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