だるま13号

そういう気持ち

正月だるまを毎年同じ店で購入している。
最初は色々な店でだるまを買っていたが、いつの間にか東海村にある村松山虚空蔵堂むらまつさんこくうぞうどうの参拝途中にあるおばあちゃんが一人で切り盛りする土産物屋で買うようになった。

そのおばあちゃんの店で買うようになってからは、毎年だるまのサイズを1号ずつ大きくして買うようにしている。
「昔の人は1つずつだるまのサイズを大きくしていったものだよ」と営業トークでおばあちゃんに言われたのかは定かでない。いつの間にか、わたしの正月の決まり事は「だるまを1号ずつ大きくして買う」になった。

毎年サイズを上げてだるまを買うわたしをおばあちゃんは憶えていて、何も言わなくてもだるまの代金をまけてくれたり、缶コーヒーやら干支の置物やらおまけでついてくるようになった。
おばあちゃんの店でだるまを買って、少し世間話をして、最後は握手して別れるのが正月の恒例となった。

今日、1月4日。
いつものおばあちゃんの店にいってみた。店は開いているように見えたが、外出中なのか鍵が掛かって入れなかった。参拝したあともう一度店に行ったが、やはり不在。
おばあちゃんの店の隣の土産物屋は営業している。だるまも沢山売っていて品ぞろえも豊富だ。営業中でも薄暗いおばあちゃんの店に比べ、隣の土産物屋は店内も明るくて綺麗。普通の客ならこっちの店に入るはず。一瞬ここで去年より大きな14号のだるまを買って帰ろうかという気持ちがよぎった。

「でもなあ…」
家から持ってきた13号のだるまを抱えてわたしは岐路についた。

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