作者には失礼にあたるのかもしれないが、《本の途中から読み始める》ということをつい最近した。読んだ本自体はページの最初から読みすすめたのだが、その本は上下巻セットのうちの下巻だったので、最初から読んでも内容が物語の中程からということになってしまったのだ。(上巻を買おうとしたら無かったので、下巻を買って読んでいる状況)
主人公らしき若い女が敵から逃げているようなシーンから話は始まっていた。そもそも途中から読んでいるので誰が主人公か分からない。しかも物語の設定も分からない。ネズミが主人公らしき女と話している。一見ファンタジーのようだ。しかも女はネズミに対して警戒心を持っている…途中いきなり猿のようなやつが出てきて女に告げ口をする。
一体どういう状況なのだろう?という事を考えながら読んでいたらだんだんと楽しくなってきた。
この女は何から逃げているのか?
ネズミがなぜしゃべっている?
猿はどこから出てきた?
話の流れは分からない。しかし、今自分が読んでいる物語の全体像を想像していると、何かに似ている気がしてきた。そう、例えば道ですれ違った人たちが何やら自分には分からない話で盛り上がっていて、なんだか楽しそうに見えた時のような。見知らぬ人の人生に少し興味を抱いた時のような気持ちというのだろうか。
街角での人間観察も楽しいのだろうが、昨今はおっさんがその辺でぶらぶらしているだけで通報されそうなので、わたしは待ち時間などで時間を持て余している時の過ごし方として《いきなり本の途中から読み始めるという行為》も一つの冴えたやり方かなと思う。
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