面白かった本(小説)

本の感想:望郷

望郷 (文春文庫)

望郷
湊 かなえ(著)

湊かなえの小説は、中島みゆきの唄に似ている。
中島みゆきの唄は、「ファイト」「時代」に代表されるように過去が暗く、辛い状態であったことを肯定しつつも、今を生きていることに勇気を与えてくれるものが多い。
「望郷」もそんな小説の一つだ。

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本の感想:待ってよ

待ってよ
蜂須賀 敬明(著)

待ってよ

本書の表紙絵は、『待ってよ』というタイトルと合わさったとき、不安な感情を抱かせる。
不安な感じ」は、物語の冒頭から始まって、最後の最後まで続く。
読み終えた時に、「不安な感じ」だったものは、自分自身が人生に対して感じていたものだったのではないか、と思った。

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本の感想:チョコレート・アンダーグラウンド

チョコレート・アンダーグラウンド

チョコレート・アンダーグラウンド
アレックス・シアラー(著)

「本日五時以降チョコレートを禁止する」

この行き過ぎた(たかがチョコレートと笑うなかれ)政策に終止符を打とうとスマッジャー少年とハントリー少年が立ち上がる。世界にチョコレートを取り戻すために。 続きを読む

本の感想:希望の海へ

希望の海へ
マイケル・モーパーゴ(著)

希望の海へ

かつて戦争があった。
もちろん、今現在戦争中の国もたくさんある。そんな国や地域の人が「かつて…」と言った時、『希望の海へ』のような小説がまた生まれるのだろうか。
マイケル・モーパーゴの小説『希望の海へ』は、イギリスからオーストラリアへ戦争孤児として海を渡った少年の二世代に渡る物語だ。 続きを読む

本の感想:屋根裏の散歩者/江戸川乱歩

屋根裏の散歩者
江戸川乱歩(著)

屋根裏の散歩者 (角川ホラー文庫)

乱歩は変態の心の内を描かせたらピカイチである。
タイトル作「屋根裏の散歩者」が収録された文庫本は多数存在している。
わたしの持っているのは、角川ホラー文庫平成6年改訂初版。
収録作品は、「屋根裏の散歩者」「人間豹」「押絵と旅する男」「恐ろしき錯誤」の4編。
良作ばかりである。 続きを読む

本の感想:怒り/吉田修一

怒り
吉田修一(著)

怒り(上)

特定の主人公がいるわけではない。

「あの人を信じていたから許せなかった」

最終章に高校生がつぶやく。
上下巻にわたる長編の意味は、この言葉の為にある気がした。 続きを読む

本の感想:二歩前を歩く

二歩前を歩く
石持浅海(著)

二歩前を歩く

6篇のミステリーが収められた短編集。
表題にもなっている「二歩前を歩く」を含め「一歩ずつすすむ」「五ヶ月前から」などなど、気になるタイトルたちだ。そしてもう一つ気になるのは、脇役(本当は主役?)としてどの短編にも必ず登場する「小泉」の存在だ。 続きを読む

本の感想:告白/湊かなえ

告白
湊かなえ(著)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

「死の連鎖」という言葉がぴったりとくる。
一人一人の告白形式で展開する物語は、読みやすい。
自分の娘を殺された母親の気持ちが、悪い方向へと行っている。 続きを読む

本の感想:快挙/白石一文

快挙
白石一文(著)

快挙

夫婦を題材にして、人間にとって何が「快挙」か?を問う小説。
「持ちつ、持たれつ」という夫婦を表す言葉があるが、本書からすれば、支えているようで支えられているのが夫婦というものかもしれない、と気づかされる。 続きを読む