本の感想:快挙/白石一文

快挙
白石一文(著)

快挙

夫婦を題材にして、人間にとって何が「快挙」か?を問う小説。
「持ちつ、持たれつ」という夫婦を表す言葉があるが、本書からすれば、支えているようで支えられているのが夫婦というものかもしれない、と気づかされる。

物語の展開や、登場する主人公夫婦の個性などは、出来すぎな感があるが、物語の本筋からはさほど関係のないことなのだろう。
自分たち夫婦の関係のことを、主人公に「安っぽい昼メロ」みたいだ、と言わせているのだし。

本書では、小説という形態を取っている為、夫婦双方の内面が描かれている。しかし、本来人間は一人称だ。
相手の気持ちが手に取るように分かるわけではないのだし、主人公のように妻の秘め事を知ってしまった「事実」を、あえて相手に言わないようにすることもある。
相手を思いやる「心」こそが、人間にとっての「快挙」なのだ。

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