本の感想:三国志/三田村伸行

三国志〈2〉天下三分の計

三国志〈1〉〜〈5〉
三田村伸行(著)

三国志は長編小説だし、登場人物が多くて読んでいる最中に誰が誰だか忘れてしまう、などというわたしのような三国志初心者は、これくらいが丁度良い。

1巻は、「群雄のあらそい」で劉備、関羽、張飛
2巻は、「天下三分の計」で関羽
3巻は、「燃える長江」で孔明
4巻は、「三国ならび立つ」で劉備、孫権、曹操そして趙雲
5巻は、「五丈原の秋風」で孔明と関羽と張飛の子どもたち

が表紙を飾っている。
わたしが三国志を初めて知ったのは、スーパーファミコンのシュミレーションゲームだ。確か光栄というメーカーが「三国志」というゲームを出していた。そのとき最低限のキャラクター名だけは憶えた。すなわち「劉備」「関羽」「張飛」の主役三人だ。他に憶えていたのは「呂布」だ。異様に強かったのを憶えている。でも「呂布」は、すぐに裏切る性格だったような。

本書は巻頭にその巻に登場する人物紹介がある。わたしのようなすぐに忘れる人間にとってはありがたい。それも紹介文だけでなく、<若菜 等+Ki>さんによるかっこいい絵とともに紹介されているのだ。雰囲気がゲームっぽい。ただ、絵は軽い感じではなく、アニメ調でもない。
どちらかと言うと重い絵だ。しかしこの絵がかっこいい。うまく登場人物の雰囲気を表現していると思う。
全部で5巻あるが、文章が読みやすく、展開が早いので、読むのが早い人なら図書館で5冊一度に借りても翌週には返せると思う。

展開の早さは、少し笑ってしまう感じの部分もある。
例えば、敵の大将との決闘などで、

「関羽は、一刀のもとに○○をまっぷたつにした」

「張飛は2合と打ち合わず相手の首をとってきた」

などと描写の前に結果が出てきてしまう展開だ。わたしは割と好きな表現だが。

三国志のいいところを簡潔に表現した本書に感謝したい。
本来なら孔明の死後も三国志は続くのだが、本書では孔明の死で終わりを迎える。著者の三田村さんだって好きな登場人物はいるわけだ。きっと、三国志のいい所は、自分の好きな登場人物の視点で物語を自分なりに作れるところにあるのかもしれない。

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