本の感想:ホームレス中学生

ホームレス中学生【児童書版】
田村 裕(著)

児童書版 ホームレス中学生

この話が、実は病気で亡くなった主人公の母親にささげる話だったとは。

映画化もされた著者の自叙伝的作品。
後半は、亡くなった母親に関する話が多く登場する。
主人公が、少し母親を美化しすぎではないか、と思う人はきっと母親がまだ生きている人に違いない。
わたしは最近、母親をなくしたばかりだったので、最後にほろりときてしまった。

本の題名通り、主人公の中学生がいきなりホームレスになってしまう話だ。
わたしが読んだ【児童書版】は、ふりがなが振ってあり低学年でも読みやすい。
お笑い芸人でもある著者が書いた文章というのを納得させられる部分が冒頭の部分だ。

主人公の田村少年は、3人兄弟の末っ子。
夏休みも始まろうという夏の日、家(マンション)に帰ると玄関には黄色いテープが貼られ立ち入ることができない。兄と姉の帰宅を待ち、さらに父の帰宅を待つ。
そこに帰ってきた父が放つ「解散!」の一言。

文章自体はつたない感じなのだが、展開が予想できず先を知りたくなる構成は映画化されるのに十分だ。
展開が早いため、説明不足な感は否めないが、公園の遊具(うんちの形をしている遊具)の中での生活や自動販売機の下に落ちたお金で食費を稼いでいるのが中学生だと思うと他人事ながら辛くなる。でも、文章が明るいので「お笑い」になってしまうのだ。

変なプライドから、兄と姉とは別の公園で一人生活をする主人公。
ハトのえさをやりにきた老人からパンを貰うところや小学生との公園での対決の部分で、多くの人が大笑いするに違いない。
面白いので、わたしは映画で見たくなった。

最後に田村一家はどうなるのか?救世主はあらわれるのか?
アマゾンの奥地まで行かなくても、冒険って出来るんだ、と思った。

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